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HOME積雪寒冷地の設計作法 > 第4章 屋根と防水を設計する

陸屋根

陸屋根では、積雪量と風の状況により、特定方向にパラペットから雪がはみ出す雪庇ができ、これが落下して人や車両に危害を及ぼすことがあるので注意を要します。(「敷地内通路と除・排雪」参照)。パラペットの立ち上がりを高くすることで雪庇の形成を少なくすることができ、札幌では、パラペット高さを経験的に60cmとする例が多いです。

勾配屋根

金属葺き等の勾配屋根は、気温や積雪状態によっては屋根面の雪が一気に滑落することがあるので、屋根からの落雪範囲を想定し、隣地からの適切な後退距離を確保する必要があります。
また、落雪範囲内には掃き出し窓、出入り口、通路、駐車場、植栽等の設置は避け、敷地の状況によりやむを得ずこれらを設ける場合は、屋根に雪止めを設け落雪を防止します。

勾配屋根の設計上の注意点

勾配屋根の葺き方と雪

1.急勾配屋根
・屋根勾配が60度以上の場合、屋根面に積雪しないとして扱うのが一般的で、市街地においても適用できますが、屋根からの落雪に対する注意が必要です。
・横葺きの場合、落雪の仕方は、横方向の細かい段により雪が割れながら落ち、落雪飛距離は比較的小さいです。

2.緩勾配屋根
・気温が低いとき 落雪しやすいですが、屋根面で氷になると、はぜが抵抗となり落雪しにくくなります。
・落雪飛距離が大きいので敷地に余裕が必要です。
・緩勾配の場合、軒先に雪が固まり、雪庇や巻き垂れ、スガ漏れの原因になる場合があります。
・スガ漏れを防止するには、小屋裏換気を十分に行い軒先の氷堤(堤防状にできる氷。水をせき止めるのでスガ漏れの原因になる)ができないデティールにします。

落雪による影響

勾配屋根の軒先と外壁面との距離が十分でないと、軒先に形成されたツララ、巻き垂れ、雪庇等が落下して、外壁面や開口部を損傷することがあります。
勾配屋根の軒下に落下した雪が徐々に堆積して雪の山ができ、さらにその上へ屋根からの雪氷が滑り落ちることで、表層ナダレ状態で思わぬ範囲へ飛び出すことがあります。軒下の堆雪スペースには、このようなことも想定して十分なゆとりをもたせなければなりません。

屋根からの落雪の飛出し

落雪飛距離

雪が落下する地点の軒先からの距離を「落雪飛距離」と呼びます。落雪に備えた堆雪スペースを計画する場合、落雪飛距離の検討が必要となります。落雪飛距離は、屋根勾配θと軒先の高さHから概略値が求められますが、雪質、風速・風向、屋根面の摩擦等も関係し、正確な予測は困難なので、ゆとりを持った計画が望まれます。

屋根勾配と落雪飛距離

ツララ

ツララは、金属板葺の勾配屋根に積もった雪が室内の暖房熱で融けて流下し、軒先で冷やされてできるもので、天井裏面に断熱材を厚く敷き置くとともに、屋根裏を外気温に近い状態に保つよう換気することで防止します。
ツララによる被害には、その成長により生じるスガ漏れと、ツララの落下による人や物等への被害、ツララによる軒先の破損等が挙げられます。

ツララの発生

スガ漏れ

ツララから氷堤(氷のダム)が発生してスガ漏れに発展し、経年とともに屋根葺き材の破損や屋根裏への漏水等へと被害がだんだん大きくなることがあります。基本的にはツララができなければスガ漏れも発生しないので、ツララ防止がそのままスガ漏れ防止となります。

スガ漏れの発生

雪庇

陸屋根や緩勾配屋根の積雪位置が風によって移動し、風下側の屋上から庇状にはみ出すのが雪庇です。雪は粘着性を持っているため、大きくはみ出し、自重に耐えきれなくなった時に地上に落下して被害をもたらします。
雪庇を防止するために、その地域の積雪量に応じたパラペットの立ち上げ高さを設定します。この他、パラペット部分の風速を上げ雪を吹き飛ばす仕掛けにより防いだり、パラペットの笠木に電熱線を仕込み、雪庇が大きくならない内に切り落とす等の方法があります。
施設配置計画にあたっては、冬期の卓越風を事前に調べ、雪庇の発生場所を想定するとともに、雪庇の落下が予想される範囲には通路、駐車場、工作物等を設けない等配慮します。

雪庇防止方法

巻き垂れ

勾配屋根に積もった雪が少しずつずれ下がり、屋根の軒先から押し出された雪やツララの先端が建物側に向けて曲がってくるのが巻き垂れです。
屋根裏と室内との間の断熱を確実にし、雪が滑り落ちやすい屋根材と適度な屋根勾配を確保すれば巻き垂れは防止できます。

巻き垂れの発生