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HOME積雪寒冷地の設計作法 > 第5章 外壁と開口部を設計する

外装の構成

○出入り口等の落雪
出入り口や、人が通る場所の外壁面は雪が落ちてこない形状とするか、屋根や庇を設けて落雪から人や物を守る計画とします。

○勾配屋根の雪
隣地に近い建物では、隣地側に雪が落ちる屋根形状としないようにします。
雪止めは雪がじわじわと滑落する力に耐えられるよう、堅固なものにすると同時に下地への固定方法に注意します。

○融雪装置の使い方
笠木や軒先に融雪装置を設ける場合、冬期間はヒーターの電源を常時入れておきます。また、溶かした水は樋に集め、ドレン管は外壁の外側ではなく室内側に設置します。

○開口部のとり方
窓等の開口部は断熱性能上の弱点となる部分であり、開口面積が少ないほど断熱効率は良いですが、閉鎖的な空間になりがちです。
高断熱ガラスやエアフローウインドゥ等の手法をうまく活用することで、比較的自由な開口部計画が可能となります。

○窓周りの雪
彫りの深い窓台や出窓の上部は、積もった雪の落雪によるトラブルを招かないよう60°以上の勾配として、雪が積もらない納まりとします。

○床付きサッシの床面結露
床まであるサッシを設ける場合、湿度の高い病院等では床面が結露する心配があります。金属建具枠には断熱材を充填し、屋内側床スラブ上面(仕上げ材下面)も外壁面から断熱補強を行うようにします(札幌周辺では600mm)。

外装材と納まり

○コンクリート外壁の目地
コンクリート外壁にクラックが発生すると、そこからの浸透水が凍結膨張し、外装破壊に繋がります。外壁面積が25uの範囲内に伸縮目地を必ず設けるようにします。

○シールの位置
シールは側面シールを原則とします。シールは切れることを前提に、ダブルシールやフラッシング(金属製の雨押さえ)で水の浸入を防ぐようにし、浸入した場合に備え、外部へ排水するルートを外装設計時に考慮します。

○石の吸水率
大理石や軟石といった吸水率が高い石材の外壁使用は避けるようにします。使用する場合は、撥水処理をしたり、厚みを十分確保する等の配慮が必要です。また、雨がかりを避け、通気層を設けて内部からの湿気もあわせて排出するようにします。

○タイルの吸水率と使用箇所
外壁タイルには、原則として吸水率が1%以下の磁器質タイルを使用します。パラペット天端部や斜めの外壁部、奥行きの深い窓の窓台や軒天井部は、浸透水による凍結膨張により、モルタルごと落下する危険があるためタイル張りを避けます。

二重サッシ

北海道では、結露防止等の目的から外側にアルミサッシと単層ガラス、室内側に樹脂製サッシと複層ガラスを組み合わせた二重サッシ・三層ガラスが主流となっています。単層ガラスによる二重サッシは、内・外サッシのガラス間隔が目安として100mm以下であれば、サッシ間の中空層での過度の対流発生が抑えられ、複層ガラスと同等の断熱性能が期待できコールドドラフトも少なくなります。
遮音性能は、外部サッシのガラス厚を5mm、室内側は3mm+空気層12mm+3mmの複層ガラスという一般的な仕様でTs-35以上の性能を期待でき、都市部のホテルでも十分対応できます。

二重サッシの一般的な納まり

ダブルスキン方式

ダブルスキン方式は、二重サッシの中空スペースを、半屋外の熱環境としたもので、外側に単板ガラス、室内側に複層ガラスのサッシを設けて必要な断熱性能を確保する考え方で、いわば縁側空間をガラスで囲ったかたちといえます。

エアフローウィンドウ方式

エアフローウインドゥ方式は、外側を高断熱とした上で、室内側を簡易なサッシとして中空スペースをリターンエアの経路とする等してペリメーター部の放射環境を向上させ、室内への熱負荷を低減させるもので、断熱性能が高くコールドドラフトも問題ありませんが、内窓を開閉し、清掃を可能とすること等に留意する必要があります。

ダブルスキンの例
エアフローウィンドウの例

風除室の形状

風除室の広さは最低4m×4m程度は確保したいですが、利用者の歩行速度・使用頻度を考えて寸法を決めます。このとき、奥行きを十分に確保することが特に大事です。
建物の用途によっては風除室の二重化が望ましいといえます。二重の風除室は風の吹き込みを防止する上で極めて効果的で、風除室前が外来患者の待合ホールになっている医療施設等では特に設置を検討すべきです。

二重化した風除室

風除室の暖房

玄関のすぐ内側が待合ホールになっていることが多い病院等の場合は、できれば風除室も暖房すべきです。風除室の暖房としては、不凍液回路による床暖房・ファンコイルユニット・パネルヒーター等を用います。外部のロードヒーティング設備を安易に延長すると降雪のない時は、暖房にならないので注意が必要です。

風除室の結露防止

風除室の扉の枠周りや召合わせ部分にはネオプレンゴム等のパッキングを設けて隙間風を防止します。このとき、屋内の加湿された空気が風除室に流入して結露が生じないようにするには、内側の扉を気密にし、外側は通気仕様とする必要があります。

人の出入り

○通用口
通用口には必ず庇を設けます。夜間や不定時に利用される通用口の周りはロードヒーティングができれば理想ですが、コスト上等の理由で難しい場合は、風・雪の吹き込みを軽減するため、できるだけ大きな庇を設けるようにします。

○避難通路と出口
避難経路となる廊下・階段は、単純で分かりやすい位置が望ましいです。避難出口に限らず出入口は、冬期、短時間で雪にふさがれる恐れがあるので、吹き溜まりを避けることのできる位置に設けるようにします。

通用口周り

○屋上の避難器具への通路
高層階の足元に大きい低層部をもつ建物の場合、避難器具を低層部の屋上に設置することがあります。この場合、屋上避難路を示す床面マーキングと手摺の設置が必須ですが、さらに冬期に備えてロードヒーティング等の積雪対策が必要となります。

○屋上の出入口
施設管理者が屋上の設備機器やルーフドレンの点検等を行うために設ける出入口は、外開き扉の場合、積雪時にも扉が開けられるように扉の下端を屋上レベルから50cm程度上げます。この扉を内開きとする場合もありますが、その場合には建具周りの水仕舞いを確実に行います。

屋上の避難器具への通路

○出入口の扉
外部に面した扉は、気密性の高い断熱仕様とし、ヒートロスを最小限にとどめるとともに扉表面の結露を防ぐ配慮をします。開き勝手は、外開きは積雪により開かないことがあるので、内開きまたは引き戸とします。避難出口のように外開きとせざるを得ない場合は、ロードヒーティングや庇の設置等によって扉開放部の積雪を防ぐ手立てを講じます。外部に面した機械室や塔屋等の扉を、壁の内部側に取付けて扉下枠の皿板を壁厚分の幅広にすると、その上面に雪が積ったり凍結したりして、出入りの際に足が乗ったとき滑って危険です。皿板下部の小壁は外部側にずらして皿板を小さくし、やむを得ず幅広の皿板となる場合は、皿板の水勾配を緩くし、表面に滑り止め加工を行うよう配慮します。

外部への出入口