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HOME積雪寒冷地の設計作法 > 第6章 室内環境を設計する

断熱材の厚さ

断熱材の厚さは、断熱性能を決める上で重要な要素です。実際には建物ごとの用途・地域・方位等の諸条件に応じた断熱計算等の検討を行い決定しますが、北海道における一般的な建物の断熱厚さは、PF板材換算で、屋根100mm・壁50mm程度が望ましいです。なお、屋根の外断熱に使用する断熱材は、防火基準上、厚さを50mm以下に制限される場合があります。これで断熱性能が不足する場合には、内側にも断熱を設ける内断熱工法を併用します。

断熱上の留意事項

○ヒートブリッジ
断熱材を施すとき、その切れ目(断熱断点)をつくらないことが原則です。一般的には内断熱より外断熱のほうが断熱断点を少なくできます。断熱材がバルコニー等の出で途切れるヒートブリッジは冬期の内・外の気温差が大きい場合、結露の原因となるので注意が必要です。

○夏型結露
夏期に外気温が一気に上昇して湿気を含んだ空気が開口部等から入り込むことにより床、壁等の表面で結露が発生することがあります。これは床、壁等の蓄熱容量が大きいため、これらの温度上昇が外気温の上昇に比べて遅いことにより生じるものです。

内断熱と外断熱の特性

○耐久性
外断熱の場合、構造躯体が断熱材等で保護されるので、風雨による劣化や温度差による膨張・収縮の影響が緩和され、基本的にその耐久性は伸びるといえます。

○オーバーヒート
断熱性能が高い建物では熱の流出量が少ないので、日射によって室内温度が高くなり過ぎることがあります。このような室温上昇の緩和が難しい状態をオーバーヒートといい、夏期ならば太陽が沈んでも暑さが残る等の原因となります。日射を適当に遮る工夫等をし、場合によってはナイトパージの併用等を考えます。

○イニシャルコストとランニング・ライフサイクルコスト
イニシャルコストでは、外断熱の方が内断熱よりコスト高といえます。しかし、ランニングコストは、外断熱の方が、断熱断点が少ない、熱負荷の平準化が容易になって冷暖房機の運転効率がよい等から、内断熱より省エネルギーといえます。

内断熱工法と外断熱工法の比較

開口部周りの表面結露

建築部位で問題になる表面結露は、窓等開口部廻りのガラス面やサッシ面におけるものです。この結露対策としては「当該部位の温度を露点以上に保って結露させない」「結露水を実害のないよう処理をする」の二つの考え方があり、前者では、@高断熱ガラスと高断熱サッシの採用 A2重サッシ、ダブルスキン、エアーフローウインドウの採用 B窓下に放熱器の設置 Cガラス・サッシ面に温風を当てる 等の方法で、後者については、サッシ下枠にガラス面等の結露水を一旦受けて徐々に空気中に蒸散させる「結露受け」を設ける、また、その結露受けから配管等で結露水を一般排水ルートへ導くといった方法で対応します。

外皮の内部結露

内部結露の対策には「室内からの湿気を通さない」「湿気を排出する」の二つの方法があります。「湿気を通さない」については、外部に比べて高温高湿な室内側に防湿シートを施す方法がありますが、施工中の損傷やスイッチ等の開口部があり完全な防湿は難しいので、「排湿する」工法と併用するのが現実的な解決法といえます。「排湿する」には、外断熱と組み合わせた通気層工法、木造住宅における通気層工法、あるいは透湿性のある外壁塗装材の採用が有効です。

コールドドラフト

○コールドドラフトとは何か
冬期に、暖房室内の空気が、外気で冷やされた外壁や窓ガラス面に触れることにより温度が急激に低下し、冷気流となって降下する現象をコールドドラフトといいます。これが部屋の内部に流れ込むと、足元が寒く 感じられて不快感を生じます。

○一般居室とコールドドラフト
コールドドラフトの防止には、外壁等の断熱を十分に行い、外壁等の室内側表面温度を室内温度に近づける配慮が必要です。開口部は、断熱サッシと複層ガラス等高断熱性ガラスの採用やダブルスキンの採用といった対策が望まれます。また、開口部の下部に暖房設備を施して、その上昇気流でコールドドラフトを抑制する方法もあります。このとき、ラジエーター、パネルヒーターといった放射型暖房は、暖気の上昇気流による自然対流の利用が可能なので、送風機を併用する暖房方式に比べてコンパクトでありながらエネルギー効率がよい方式といえます。
最下階床や風除室、倉庫・車庫等外気温に近い室温の空間に接する部分の室内側も、配慮が必要です。特に、下階がピロティの場合は、ピロティ上部を断熱天井とした上で天井内に放熱器を設置し、天井内温度を目安として5℃以上に保つのが望ましいです。

○吹抜け空間とコールドドラフト
外気に面した大きなガラス張りの吹抜け空間等では、ガラス面からのコールドドラフトが勢いをもって床面に降下し足元を襲うことがあります。これを防ぐには、大ガラス面の足元だけでなく中間高さのサッシ水平部材にもパネルヒーターを組み込む必要があります。

一般居室とコールドドラフト
ピロティ部とコールドドラフト
吹抜け空間とコールドドラフト